値引きしない営業は可能なのか知りたい
いつも値引きすることを要求されてしまいなかなか断れない
値引きする癖がついてしまって困っている
こんな人におすすめの記事となります。
この記事を読むとなぜ値引きという話が出てくるのかについて理解できるようになります。
値引きをするという事は価値を値引かれるのと同じです。
実際の価値は守りながら値引きというものをコミュニケーションツールとして扱ってみるという見方ができるようになりましょう。
この記事を書いている私は営業マンを20年以上にわたって職業としています。
営業をしている以上は値引きというワードはしょっちゅう出てきますが、値引きというのはうまく使うと客先とのコミュニケーションツールになりえます。
私はあまり値引きしない営業マンなのですが、客先とのコミュニケーションツールとして値引きを使っています。
営業成績は会社における過去の累計粗利益高で全社一位です。
値引きしない営業は可能か
実質的な値引きはしない営業は可能です。
実質的なといったのはダミー的な値引きはするという事です。
実際に確保したい価値や利幅にはふれさせずに十分な利益を確保できる範囲で値引きを行うという事です。
ですので、価値を値引くというよりもただのコミュニケーションの手段としての値引きをするという事になります。
値引きはコミュニケーションツール
値引きというと利益が減ると考えている人が多いのですが、実際には必要な利益が減るような値引きはしません。
値引きを行うので結局はもらえる金額が減るのは事実ですが、値引いた後もなお十分な利益を確保できていることが前提です。
客先も満額で買うという事はなかなかできないので見積金額から価格をひいてほしいというやり取りが発生するのですが、これはコミュニケーション手段なのです。
値引き交渉の例
味気なくさらっと書きましたが、実際はお互い冗談を交わしながら話を進めていく感じになります。
ここで重要なのは、客先にしてみれば値引き依頼をして5%はまず確保できた、さらに引いてもらえないか検討してもらえた。という状況になり、社内でも上司に値引きの進捗の報告ができるようになります。
そして、2日後にさらに3%引ける言質を取ったという事でさらに上司へ値引きが成功したことを報告する形になり、うまく事が運べたことをアピールできます。
一方の私は、最初から10%分の値引き幅を用意してたので値引きが8%にとどまったので、予定より2%高い利益率で決着したことになります。
予定していた利益率よりも高い利益率でしたので営業成績も良くなります。
価格交渉のやり取りというのはこのようなものですが、相手側もこちら側も及第点はクリアし満足のいくものなった形です。
ですので、この値引き交渉というのは双方の満足が行くところを探り合い、折り合い地点を探すというコミュニケーションの手段なのです。
もちろん、この交渉自体は既に他社との選定競争に勝ったうえでの詰めの協議です。
最後のクロージングのところにあたりますのでいきなりこのような話で始まって終わるわけではありません。
具体的にどのように計算して利益を残すのか
先に記したような交渉を行う際には当然ですが、見積もりには最初から値引きできるだけの幅を持たせておきます。
この値引き幅は見積もりをするときに事前にNET(営業マンが扱う原価)にかけておくことをお勧めします。
私の場合は営業NETに×1.25したものを自分の独自NETとして扱います。
このNETに対して絶対に確保したい利益率を割り戻します。
例を使った方が分かりやすいので以下に例を記します。
10,000円がNETだとしたら、これに1.25をかけて12,500円を自分の独自NETとします。
1.25をかける理由は以前にも説明しましたが、何が起こるかわからないための保険代のようなものです。
自社や客先のミス、予想外の出費が発生しても客先に請求を行うことなく自社で処理できるようにとっておく予備費です。
トラブルが起きた時に素早く解決するにはお金がかかります。
素早くトラブルを処理することで信用につながりますのでこれは信用を得るための仕掛けでもあります。
これに私の場合は最低限確保したい利益率35%を割り戻します。
すると12,500÷0.65(粗利35%)=19,230円となります。
これが、値引き見積もりのベースになります。
基本的にこの価格よりも更に値引くことはありません。
今度はここに客先からの値引き要請があったときに値引くための値幅を作るためにさらに0.9掛け割り戻すことにします。
すると、19,230÷0.9=21,366円、切り上げて21,500円になります。
これが客先に提出する価格になります。
あとは確保したい利益率までの間で値引き交渉を楽しめばよいのです。
値引き見積もりのベースまでに1%でも残すことができれば私の勝ちです。
他社と並べて値引かれるというのはあまり良くない
ちなみに、他社の価格と比べて値引きを要求してくるような場合もあるのですが、こちらは実はあまり良くできた流れではありません。
どちらかというとこちら側に信用がない場合に出てくる交渉形態です。
客先が、こちらの製品やサービスの質を理解していないため、この価格よりも安くしてくれるなら使ってみても良いというような考え方なのです。
ですので、あまり儲かりません。
しかし、信用がないので仕方がないというところでしょう。
一度安値でも受注して他社との違いを理解してもらい、自社の方が優れていることを分かってもらうと良いでしょう。
すると、次回からは他社と比べてあなたの会社の製品やサービスが優れているという付加価値が目に見えない形で乗っかり、他社と比べて同列とみられるようなことは無くなるでしょう。
そうすると数値だけでは決まらない真の価格競争力が出てきます。
信用がないうちはこのような値引き携帯に対応することは仕方ないですが、このような形がずっと続くようであれば、あまりうまみのない話になってきますので相手に提供できる自分の価値を更に上げるか、もしくは価値は他社よりも高いのであれば、しぶい客先の可能性も出てきますので撤退を検討する必要があるかもしれません。
他社と自社の価値は同じですか
上記で撤退を検討すると書いたのですが、これは効率の良い営業展開を行っていく上では非常に重要な事になります。
価値というのは日々の努力やちょっとした事の積み重ねで高まっていくものです。
安値ばかりを要求してくる客先はちょっと注意が必要です。
つまり、会社の体質として、あまり積み重ねを重要視していないよな客先である可能性があるのです。
値段だけで物事を決めようというのはある種の思考停止状態にあるといっても差し支えない状況でしょう。
客先に高付加価値なものがあるのであれば、十分に儲けが出て楽な経営を行っているはずです。
値引きばかりを要求してくるという事は、積み重ねなどの経営努力を怠っている結果なのかもしれません。
実際にこういった客先は意外と多いです。
ですので、このような客先に当たった場合は即刻逃げることをお勧めします。
なぜならば、このような客先は安値で売っても更にあれをやってくれこれをやってくれと要求が途絶えない場合が多いだけでなく、納入した製品に対してクレームを入れてきたりすることが多々あるのです。
製品の管理状態も悪いのではないかと勘繰りたくなるのですが、証拠がないので何とも言えずに煮え湯を飲まされることになりえるのです。
ですので、私はこういった客先からはとにかく距離を取り、どうしても見積もりをするときはお断り価格で見積もりをすることにしています。
当然値引きもほとんどしません。
失礼のないようにお愛想程度の端数値引きくらいはしますが、なんだかんだで注文が来ないような高値にします。
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