営業と傾聴力の関係
傾聴とは営業の重要なスキル
営業にとって傾聴は仕事の中心軸をなす物です。
物を売り込むのが営業だと思っている方が相当数いますが、私は違うと思います。
売り込み型の営業は消耗戦です。
喉をからし、無理矢理自分のテンションを上げて、勢いをつけて客先を説得して注文を獲得する。
勇ましく、いかにもドラマに出てきそうな営業シーンですが、これでは長く続きません。
若い内は気力と体力とで無理くりやれそうですが、いくら若くても早晩うつになってしまうのではないでしょうか。
この手の営業は非常に効率が悪いです、自分の足で走り回り注文を追いかけ回すわけですから燃費も悪くなるでしょう。
疲れずに、かつ、確実に物を売ることができるのが何を隠そう、この「傾聴力」にかかっているのです。
なぜならば、客先の言う言葉には「こういう物が欲しい」といった内容の言葉が出てくるからです。
このことは私も完全にはできていないので、私も含めてですが、この言葉をさらっと聞き流してしまうことが多いのです。
実はこの言葉こそが金科玉条なのです。
「こういう物が欲しい」に耳を傾けるべし
金科玉条と言いましたがこれは本当です。
なぜならば、客先の「こういう物が欲しい」というものは、それを差し出せばほぼ確実に売れるからです。
ところが、たいていの場合は「そういう物はないのでちょっと違いますがこれはどうですか」と行った形で全く的外れな物を提示してしまったりするわけです。
客先によっては妥協して購入してくれるかもしれません。
しかし、私の実績においてはこの「こういう物が欲しい」というものを具現化した製品は特許取得、意匠登録などの独占販売権となるパテントがとれる物が多く、莫大な収益をもたらしてくれることが多いのです。
私はメーカーに勤めていますが、売れる物は客先が提案してきた製品像を具現化した物に限られると言っても差し障り有りません。
非常に良くあることなのですが、企画開発部などのような自社製品を開発する部門は変なプライドがあるらしく、自分たちの発想力でゼロから画期的な売れる製品を作り出してやろうという考えを持ちやすいのです。
バッサリと切り捨てさせていただきますが、それはただの自己満足に過ぎず、趣味の世界に過ぎません。下手の横好き、もしくはアマチュアの遊びであってプロの仕事ではないのです。
私の勤めている会社が特殊なのかもしれませんが、この手の物は見事に売れません。
誰も欲しがらない上に興味も持たれないので見向きもされずに消えていきます。
なぜならば、客先が「有ったら欲しい」と思う商品ではなく「これなら便利だろう、こういう製品こそが求められるハズだ」という自分勝手な思想を元に動くからです。誰も欲しいなんて言っていないんです。
当然ながら、世間からは求められるわけもなく、本人の自己満足だけが突き抜けて頂点に達し、そこから一気に瓦解する典型です。
きっと私の勤めている会社だけではなく、どのメーカーも似たような事象があるのではないでしょうか 笑
営業に来たんなら私が欲しいものを聴いてくれ
これは顧客の無意識なる声です。
人は常に100%満足した日常を送っていません。
常に何かが足りない、何かを改良したいと思っているものです。
「ここを改善したい」
「これができれば儲かるんだけど」
「これができればもっと効率が上がるのに」
「こういう物があれば仕事が楽になるのに」
こういった事を考えているのです。
よって客先から「これが欲しい」と言われた製品についてはびっくりするほど売れます。
これが欲しいとハッキリ言うということは、すでに市場にないかを探した後の言葉なのですから売れないわけはないのです。
また、市場にあるのであれば、それを差し出せば売れます。
どっちにしても客先が欲しいと口にした物は売れるのです。
例えその製品が存在していなかったり、実現が夢物語だったりしたとしても、自分の考えや経験は一度横に置いて客先が欲しいと言った物が提供できないか、具現化できないかを考えて提供しようとすることが大切です。
私が過去に出会ったこの言葉を口にした客先は非常に頭脳明晰で仕事ができ、常に何か改善しようとする能力の高い人ばかりでした。
ですので、顧客の質としても非常にレベルの高い方々でしたので傾聴するに越したことはありません。
その姿勢は客先に信頼感を持ってもらえますし、具現化できた際には絶大な信頼を得られます。
傾聴力こそ営業の重要なスキルです。
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